ピアノの先生がBABYMETALを調性で分析。GJ!、THE ONE、他
BABYMETALを調性で分析の第4回です。
前回につづき、今回は2ndアルバムの後半について、分析していきます。
1stアルバム前半:ピアノの先生がBABYMETALを調性で分析。BABYMETAL DEATH、メギツネ他
1stアルバム後半:ピアノの先生がBABYMETALを調性で分析。4の歌、イジメ、ダメ、ゼッタイ他
2stアルバム前半:ピアノの先生がBABYMETALを調性で分析。Road of Resistance、Amore -蒼星-他
もくじ
シンコペーション
イ短調(単純素朴な柔らかい悲しみ。最も女性的 敬神的な諦めに似た感情も出す)調号なし
ここに来て、予想を大きく裏切るような曲が登場します。
転調もなし、ひねりもなし、分かりやすく、調号がない調性でのダイレクトな主張。
シンコペーションを意識させるために、調性をひねらなかったのか、はたまた、今までの曲の転調の嵐から一転して裏をかく作戦に出たのか。
どちらにしても、目立ってしまうこの曲。
ひねりがないか、じっくり聴いてみてみましたが、やはりなかったですね。
ベースの終止への進行「F→G→A」(ヘ→ト→イ、ファ→ソ→ラ)がたくさん出てきています。
ある意味特徴ですね。
全音階ですね。
たとえばここだと、A・B・C♯・D♯・F・G・A です。
面白かったのはこの前曲のメタ太郎とのつながりです。
メタ太郎の最後のメロディーの音がG♯でした。
このシンコペーションはイ短調です。
つまりA、ラで終わります。
ベースラインがAからスタートしますが、G♯はイ短調においてAの「導音」です。
イ短調においてはG♯が来たら次はAで終止する流れとなっています。
だからとってもつながりがいいですね。
あとこの曲、演奏するのはとても楽しいと思います。
楽器が表拍、歌が裏拍で入りますから、互い違いでまるで餅つき!
まだ生演奏で聴いたことがないので分かりませんが、きっと楽しいことでしょう!
From Dusk Till Dawn
嬰ハ短調(最も陰暗な調の一つ。残忍、皮肉、悲愴、不気味)♯4つ
ニ短調(不安、悲歓、荘厳、崇高。シューマンによると、巨大な力を持つ調)♭1つ
Europe版の中にあり、「メタ太郎」と「GJ!」に挟まれた、シンコペーションに代わりになっています。
この曲のジャンルに関して、私は全くの不勉強で、こちらの記事からお勉強させていただきました。
https://toretame.jp/babymetal2nd-album-metal-resistance-songs-review.html
ちなみに私の印象は、演奏主体の曲、つまりインストゥルメンタルとして聞こえます。
歌は、歌詞を持たず、音の一部。
もちろん歌詞はあるとは思いますが。
深く掘り下げられなくてごめんなさい。
ちなみにこの題名の意味は、「夕暮れから夜明けまで」。
また、同名の映画もあります。
邦題は夕方から夜明けまで。
見てみるつもりです。
さて、調性の話に戻します。
前曲である、メタ太郎で書きましたが、メタ太郎の最後がホ長調♯4つ、この曲は嬰ハ短調♯4つの始まりなので前曲と平行調でつながりがいいです。
嬰ハ短調は、BABYMETALの調性。
揺られて漂ってを繰り返す嬰ハ短調に、BABYMETALの新たな可能性を感じます。
だって、同じ調性なのに、違う印象がしますから。
漂った感じは、セブンスの音がたくさん入っているからでしょう。
例えばC♯マイナーだったら、C♯マイナーセブンでド♯・ミ・ソ・シ。
この「シ」がド♯から数えて7番目の音。
だからセブンス。
セブンスのコードは、ハッキリしない感じがします。
初めから使われると、そこに漂っているような感じがします。
そんな感じでしばらく漂ったあと、一瞬のブレイクで、急に転調。
ニ短調になります。
半音上がります。
このニ短調、私はなぜか恐怖を感じます。
不安、というものですね。
危うさも感じます。
金縛り、という言葉を連想させます。
金縛りにあったことはないですが。
子供の頃に聞いた、童謡のカセットテープ。
その中で、音楽が終わって、女性の声で、
「ここでA面は終わりです。B面にしてください」
というような内容の声が聞こえてくるのですが、それが怖くて怖くて。
その声が聞こえる前に急いで止めて、裏を返して巻き戻しして聞いた記憶があります。
この怖い感じと、何か良く似ています。
このカセットテープも、体験も、知らない人の方が多いか(笑)。
ちなみにニ短調でそのまま終わるのですが、同主調であるニ長調と次の曲であるGJ!(ロ短調♯2つ)が平行調です。
あながち関連が全くないとは言えませんが、実験的に入れたように感じられます。
最後はB♭メジャーセブンで終わりです。
このコードは、ニ短調の6度で(偽終止)、しかも、セブンスという漂うコード。
続きがあるよ、と言っています。
GJ!
ロ短調(非常に暗く憂愁であるが、静かな期待と辛抱強い希望もほのめかす)♯2つ
またはBのパワーコード
– ニ長調(高尚で華美、雄大で宗教的。特に歓喜に適する。活発なファンファーレにも用いられる)♯2つ
さて前曲(シンコペーション)のコードはなんでしょう。
私にはDmに聞こえます。
Dmの第3音がベースの第一展開形で終わっています。
次のこのGJ!は、ドラムのリズムからスタートしていますが、Bmまたは、Bを基調としたベースのメロディーです。
これなら違和感はない方ですね。
Dmと同主調のDとBmは平行調という近親調ですから。
※From Dusk Till Dawnとのつながりに関しては、その曲の最後で記述しております。
ロ短調、またはパワーコードで始まるこの曲のイメージは、やはりダークですね。
そしてサビになってニ長調になります。
この調性、どこかで見たような……?
BLACK BABYMETALの調は、なんだったかしら?
いやいや、違うでしょ!
「Catch me if you can」と同じです!
ロ短調からサビでニ長調になる!
「Catch me if you can」とひとつ違うことがありますね。
そうです!
su-metalがいないんです!
ついにロ短調とニ長調をBLACK BABYMETALが乗っ取ったんですねぇ。
嬰ハ短調、ハ短調とどんどん調性を下げていって、ついにロ短調まで来たのですね。
ちなみにこの曲の私の最初の印象ですが、あまりインパクトを感じませんでした。
しかし、ライブ映像を聴いた瞬間に、180度印象が変わりました。
この曲のグルーブ感です。
初めの低いメロディーラインのカッコいいことと言ったら、もう、ニヤけるしかないじゃないですか。
いやいや、2人の動きもグルーブ感に溢れていて、特にゆぃちゃんの動きと言ったら、グルーブそのもの。
恐れ入りました。